前回の記事に引き続いて、マルクスの理論に基づけば、会社員として働いている以上、構造上の「搾取」は必ず発生しているということになります。
しかし、だからといって「自営業の方が利益率が高い(得をする)」とは言い切れないのが、現代社会の複雑なところです。
それぞれの視点から、論点を整理してみましょう。
1. 会社員の「搾取」は本当か?
マルクスの定義に従えば、**「本当」**です。
会社が利益を出しているということは、あなたが1日に生み出した価値(労働)のうち、給料として支払われた分(労働力の価値)を差し引いた「残り(剰余価値)」が存在するからです。
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会社員のメリット: 自分の「労働力の価値(生活費+α)」は、会社の売上がゼロの日でも(基本的には)保証されます。
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搾取の裏返し: 会社は、あなたがミスをした時の損失や、オフィス代、社会保険料などの「リスク」を肩代わりする代わりに、利益の余りを受け取ります。
2. 自営業なら「搾取」はないのか?
自営業(個人事業主)になれば、自分の「労働」が生み出した価値をすべて自分で受け取ることができます。理論上、他人に搾取されることはありません。
しかし、ここで新たな問題が発生します。
資本家がいなくなっても「市場」に叩かれる
マルクスは資本家による搾取を説きましたが、自営業になると、今度は**「市場原理(競争)」**にさらされます。
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労働のすべてが自分のもの: 10万円の仕事をして、経費が2万円なら8万円が自分の利益です。
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しかし、労働力の再生産が困難に: 会社員時代は「有給」や「厚生年金」など、労働力を回復させるための費用を会社が一部負担してくれていました。自営業はこれらをすべて自腹で賄わなければならず、結果的に**「会社員時代の給料より手残りが少ない」**という事態がよく起こります。
利益率(手残り)の比較
| 項目 | 会社員 | 自営業(個人) |
| 生み出した価値 | 会社に一部取られる(搾取) | 100% 自分のもの |
| リスク・経費 | 会社が負担 | すべて自己負担 |
| 利益率の高さ | 低い(安定はしている) | 高い(ただし売上次第) |
| 労働力の維持 | 会社が支援(福利厚生) | 自己責任(病気=収入ゼロ) |
3. なぜ「自営業の方が得」とは限らないのか
資本主義社会において、個人が自営業で高い利益率を維持するには、**「特別な労働力(スキル)」**を持っている必要があります。
もし、誰にでもできる仕事を自営業として始めた場合、市場での買い叩きが起こり、結果的に**「自分自身を極限まで搾取する(休みなく働く)」**という、会社員時代よりも過酷な状況に陥るリスク(自己搾取)があります。
結論:どちらが良いのか?
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会社員が向いている人: 「労働力の価値(安定した生活費)」を保証してもらい、リスクを会社に預けたい人。
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自営業が向いている人: 会社に取られる「剰余価値」が大きすぎると感じるほどの高いスキルを持ち、リスクを負ってでも「労働の成果」をすべて手にしたい人。
マルクスが指摘したかったのは、「搾取が悪だ」という感情論だけではなく、**「この仕組みを知った上で、どう生きるか?」**という問いかけでもあると思います。
また個人の特性や性格によって、組織の中で働くことが向いている人、個人で事業主として働くことが向いている人もいるかと思います。私も過去に自営を考えたこともありましたが、特別なスキルはないことと、自分一人で何かをする勇気がなく、ずっとサラリーマンを続けています。私の正直な意見としては、今後は今の会社で勤めきれるまで働き、その中で投資信託で資産を運用し、ある程度まとまった資産を作って自給自足に近い生活を送りたいと考えています。(私が尊敬している堀江さん的には、今すぐ行動しないとダメだといわれるでしょうが)
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