ハイカムに交換した後、エンジンから「カチカチカチ…」と大きな音がしていませんか?それは「タペットクリアランス(隙間)」の調整が必要なサインかもしれません。
ハイカムを組み込んだ後の「バルブタペット調整」は、エンジンの寿命と性能を左右する非常に重要な仕上げ作業です。ここをきっちり行うことで、ボアアップエンジンのポテンシャルを100%引き出し、心地よいエンジン音を実現できます。
1. なぜ「隙間」が必要なのか?(熱膨張のヒミツ)
エンジンが動くと、金属であるバルブは非常に熱くなり、わずかに「伸び」ます。 もし隙間がゼロだと、伸びたバルブが押しっぱなしの状態になり、蓋(バルブ)が完全に閉まらなくなります。これを「バルブが突く」と言い、圧縮漏れを起こしてパワーダウンやエンジン故障の原因になります。
逆に隙間が広すぎると、金属同士が激しくぶつかり、「カチカチ」という異音(タペット音)が発生し、部品を傷めてしまいます。
2. 調整の鉄則:「冷間時」と「圧縮上死点」
調整を行う上で絶対に守らなければならないルールが2つあります。
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エンジンが冷えている時に行う: 金属が伸びていない状態で測るのが基本です。
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「圧縮上死点」を出す: ピストンが一番上にあり、吸気・排気の両方のバルブが完全に閉まっている位置で調整します。フライホイールの「Tマーク」を合わせる、おなじみの作業ですね。
3. カブ(75cc/ハイカム車)の調整目安
メーカーやカムの仕様によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
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吸気側(IN):0.05mm
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排気側(EX):0.05mm (※ボアアップ及びハイカムの説明書に指定がある場合は、そちらを優先してください)
4. 職人技「シックネスゲージ」の感触
0.05mmという薄さを測るには「シックネスゲージ」を使います。 調整のコツは、ゲージを差し込んで動かした時に、**「羊羹(ようかん)を切るような、ヌルッとした軽い抵抗感」**がある状態にすることです。
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スカスカなら「広すぎ」
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動かないなら「狭すぎ」
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絶妙な抵抗があれば「合格」です。
5. 調整後のチェック
調整が終わったら、手でクランクを数回回して、もう一度「Tマーク(上死点)」を合わせて隙間を確認してください。一度締めても微妙にズレることがあるので、この「二度手間」がエンジンの完成度を上げます。
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